rTMS治療のメカニズムを解説!うつ病治療に電磁波を使用

うつ病の治療を検討している方は、「rTMS治療」という治療法をインターネットで目にしたことがあるかもれません。

実際、どんな治療法なのか気になる方や、薬治療のイメージがあるうつ病治療とどのような違いがあるのか疑問な方も多いでしょう。

この記事では、rTMS治療がうつ病治療に適している理由や治療の仕組みを詳しい情報を元に紹介します。具体的には以下のような内容で紹介しています。

rTMS治療によって改善できる病気や症状の例

rTMS治療の基本的な仕組み

抗うつ薬との違いについて

rTMS治療のリスクや副作用について

これから、うつ病治療を検討している方に必見です。

rTMS治療はうつ病治療に最適な治療法

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rTMS(repetitive transcranial magnetic stimulation)治療とは、非侵襲的な脳刺激療法の一種です。脳の磁場によって神経活動を制御することで、主にうつ病を症状として抱える患者に最適です。

治療の概要としては、頭皮上に設置されたコイルから繰り返し発生する磁場を脳に向けて刺激することで、神経細胞の興奮性を調整します。治療中は脳内の神経回路の機能が変化し、血流量や脳内物質の分泌などが増加することで、症状の改善が期待できます。

rTMS治療に適する病気や症状の例

rTMS治療を施すことで脳内の神経活動を調整し、うつ病だけでなくさまざまな病気や症状に適しています。主な対象症状例は以下のとおりです。

線維筋痛症

不安障害

統合失調症

以上のように、rTMS治療は、様々な病気や症状の改善に有効であることが知られています。ただし、治療効果は個人差があり、症状の程度や治療方法によって異なることがあります。

rTMS治療の基本的な仕組み

治療には、TMS装置と呼ばれる装置が用いられます。

TMS装置は、高周波電磁波を発生させる装置で、磁気刺激を脳に送ります。基本的な仕

組みは、TMSコイルである磁気刺激用のコイルが頭皮上から脳を刺激し、刺激は脳

内の神経回路を変化させます。

具体的には、シナプスという機能を強弱を付けて調整できます。

rTMS治療による脳内物質の変化は主に3つ

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rTMS治療やTMS治療では、脳内の神経伝達物質の分泌量に変化が生じることが、多くの研究で報告されています。脳内物質の中でも大きく変化をもたらすのが以下の3つです。

セロトニン

セロトニンは、うつ病の治療において重要な役割をもつ神経伝達物質です。rTMS治療によって、前頭前野を刺激することで、セロトニンの分泌が増加するという報告があります。

ガンマアミノ酪酸

ガンマアミノ酪酸(GABA)は、脳内での興奮を抑制する役割をもちます。rTMS治療によって、興奮の抑制を促すことでGABAの分泌が増加します。

グルタミン酸

グルタミン酸は、神経細胞の興奮性を増加させる役割を持つ神経伝達物質です。rTMS治療によって、興奮性を調整することでグルタミン酸の分泌量に変化が生じます。

以上のように、rTMS治療によって、脳内の神経伝達物質の分泌に変化が生じることが多くの研究で報告されています。このような変化が治療効果に繋がる可能性があります。

うつ病治療におけるrTMS治療の利点

これまで、うつ病治療に際しては、薬物療法によって多くの改善傾向がみられていました。しかし、非侵襲的な脳刺激療法であるrTMS治療により、従来の薬物療法が効果を示さなかったうつ病患者に対して、rTMS治療が有効であるともいわれています。

具体的には、以下の2つの点においてrTMS治療の利点といえます。

症状の再発予防

rTMS治療は、うつ病の症状が再発した患者に対しても効果が期待できます。長期的な治療によって再発率を低下させることが可能です。

薬物療法に対する代替手段

従来の薬物療法に対する代替手段としても注目されている点が、rTMS治療の利点といえます。薬剤による副作用が気になる患者や、薬物療法が効果を発揮しなかった患者に対して、rTMS治療の特性である磁気刺激という新たな選択肢が選べるようになりました。

以上のように、rTMS治療は、うつ病治療において症状の改善や再発予防に効果的であり、薬物療法に対する代替手段としても有効であると考えられます。

抗うつ薬との違いについて

まず、抗うつ薬は脳内の神経伝達物質のバランスを調整することで、うつ病の症状を改善する働きがあります。一方、rTMS治療は、磁場を使って脳の特定の部位に刺激を与え、神経回路の活性化を促すことで、うつ病の症状を改善することを目指しています。

また、抗うつ薬は副作用が発生する場合がありますが、rTMS治療は比較的副作用が少ない状況です。ただし、rTMS治療による副作用は個人差があり、頭痛やめまいなどの軽度なものから、てんかん発作を引き起こす可能性がある重度なものまでさまざまです。

さらに、抗うつ薬は症状の改善が現れるまでに時間がかかることがありますが、rTMS治療は治療を開始してから比較的早く効果が現れるとされています。

抗うつ薬 rTMS治療
治療法 神経伝達物質のバランスを調整 神経回路の活性化
副作用 副作用は発生しやすい 副作用は発生しにくい
治療期間 多少の期間が必要 少ない期間で治療

rTMS治療のリスクや副作用に注意

rTMS治療は比較的安全な治療法であり、重大な副作用はまれです。しかし、治療を受ける前に知っておくべきリスクと副作用があります。以下のリスクと副作用をご覧ください。

リスクについて

痛みや不快感

治療中に頭皮の上で磁気刺激を与えますが、痛みや不快感が起こる場合があります。しかし、治療中に痛みを感じた場合は治療者に伝えるられるため、治療の強さを調整できます。

発作

まれに、治療中に発作が起こることがあります。そのため、過去に発作を起こしたことがある場合は、治療を受ける前に医師に伝える必要があります。

副作用について

頭痛

治療後に頭痛を感じることがありますが、通常は軽度です。

疲れや眠気

治療後に疲れや眠気を感じることがありますが、数時間以内に軽減する場合が多いです。

耳鳴り

治療中に耳鳴りが起こることがありますが、通常は治療が終わるとすぐに消失します。

rTMS治療は薬物療法と比べて、副作用が少なく、発生率も極めて低いことが特徴です。しかし、個人差があるため、治療を受ける前に医師にリスクや副作用について詳しく相談することが大切です。

まとめ

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rTMS治療がうつ病症状に最適な治療法であることを紹介しました。これまでの、抗うつ病薬との違いについても比較をしながら説明しました。

まとめとして、この記事でお伝えしたことは以下の通りです。

rTMS治療はうつ病治療に最適な治療法

うつ病、線維筋痛症、不安障害、統合失調症などの病気・症状に対して効果を発揮しやすい

脳に対して磁気刺激を送ることで、セロトニン、ガンマアミノ酪酸などの脳内物質を変化させる

抗うつ薬と比べて、副作用の発生状況が少ない

この記事の内容を把握しておくことは重要ですが、もし実際にrTMS療法を検討している方は、医療機関との綿密な相談の元で、治療を受けるかを判断しましょう。